2015年12月27日日曜日

ゴールドコーストマラソンでの日本人の顔といえば川内優輝なのだが:「なぜ彼が」という疑問?

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 ゴールドコーストマラソンでの日本人の顔といえば川内優輝。
 女子ならコースレコードを持つ赤羽 有紀子、あるいは優勝2回の吉田香織などあげられるが、知名度というとやはりこの『公務員ランナー』の異名を持つ川内優輝にまさるものはいない。

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東洋経済オンライン 2015年12月27日 津田 誠一 :元学習院大学陸上競技部監督
http://toyokeizai.net/articles/-/97953

最強市民ランナーが少ない練習で勝てるワケ


●最強市民ランナーと呼ばれる川内優輝選手が少ない練習で勝てるワケは?(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

2007年の第1回東京マラソン開催が口火を切り、その後右肩上がりの勢いをみせるマラソンブーム。
日本陸連公認コースでのフルマラソン完走者数だけでも、5年前の2.5倍に増えているといいます。
中でも働き盛りの30代後半から50代前半のビジネスパーソンが非常に多くなっています。
たばこ、お酒、深夜食など……挙句の果てに健康診断で“メタボ”を宣告されるなど、不摂生を一通り経験し、走りに目覚めた市民ランナーたちが多いのです。
そんな市民ランナーの星であり、“最強の市民ランナー”と呼ばれているのが川内優輝選手(埼玉県庁)。
その川内選手、現在の姿からは想像できないほど高校時代は無名の選手でした。
箱根駅伝とは無縁の学習院大学に入学し、弱小の同校陸上競技部で出会ったのが、津田誠一監督(当時)でした。
いったい、どのようにして川内選手の才能を開花させたのでしょうか? 
津田元監督の話を聞けば、現在の走りを見直すきっかけになるかもしれません。


 "公務員ランナー"として有名になった川内優輝(埼玉県庁)は、私が学習院大で陸上競技部の監督を務めていたときの教え子です。
 私の指導(練習)法は、当時も今も、週2回だけ集中して走力を強化する「ポイント練習」が軸。
 その他の日は、基本的に疲れを抜きながらジョッグをするというシンプルな内容です。
 多くの市民ランナーは、通り一遍のジョッグをしたり、必要以上に高強度の強化練習をこなしたりして、練習の効率がよろしくありません。

■メリハリを重視した練習法

 その点、私の練習法はメリハリを重視しています。
 具体的には、
★.週半ばの水曜に「スピード練習」(インターバル走やペース走)、
★.週末の土曜に「距離走」(20〜30㎞)をします。

 日曜に自己記録を狙うような本命レースがある場合は土曜を調整にあてたり、本命レースではなくても練習代わりにレースに出場したりと、そのへんは若干変則的です。
 スピードや距離は、ランナーのレベルによって柔軟に変化させる必要がありますが、ここはひとまず川内を基準に話を進めることにします。
 いずれにせよ週2回、水曜と土曜のポイント(強化)練習が、私の練習法の軸となるわけです。

 集中して走力を強化するポイント練習といっても、スピード練習も距離走も、ペース(速度)はそれほど速く設定しません。
 むしろ、それぞれの走力に応じて、"やや抑え気味にする"のがコツです。
 そのベースには
 「歯を食いしばりながら頑張って練習すれば速くなるってものじゃない」
ということがあります。

 ランナーは自分の"最低ペース"というものを知っておくことが大切です。
 最低ペースとは、レース中にどれだけ苦しくなっても、それ以上はペースダウンすることなく走れるペースのこと。
 この最低ペースを底上げすることこそが私の練習の目的であり、マラソンランナーが強くなるポイントなのです。
 最低ペースを底上げするには、スピード練習でも距離走でも、
 最初から最後まで一定ペースを保つことが大切
になります。

 そのためには
1].「ランニングフォームを乱さない」
2].「"膝のタメ"を使う」
という2つの点を意識しながら練習することです。
 "膝のタメ"は感覚的なことなので文章で説明するのが難しいのですが、膝のクッション性を保ちながら柔らかい走りをするということ。
 このことを意識することから始めることです。

■ジョッグは自分自身の体と相談

 水・土曜のポイント練習以外の日はというと、月曜は休養、火・木・金・日曜はジョッグです。
 ジョッグの距離はあえて指定しません。
 基本的に疲れを抜くことが目的ですから、ゆったりとしたペースで、30分でも60分でも構いません。
 そのあたりの加減は自分自身の体と相談しながら、自問自答を繰り返すことが大切ですし、そうやって自分で試行錯誤したほうがランナーとして伸びるというものです。
 ビジネスパーソンもマラソンランナーも「指示待ち族」では伸びません。
 こうした私の練習法は、川内が大学卒業後に"公務員ランナー"として大活躍して注目を集めたことから、市民ランナーの間では"川内メソッド"として話題になったようです。

 練習環境に恵まれた実業団選手ならば月間1000㎞以上走ることも珍しくありません。
 しかし、公務員としてフルタイムで働き、練習時間に制約のある川内の走行距離は月間600㎞程度。
 それでも実業団選手に勝つのですから、注目されたわけです。
 私の練習法は、
☆."頑張りすぎない"
☆.."走りを楽しむ"
がモットーです。
 川内にも、よく
 「頑張るな」「頑張るな」
と声をかけたものです。

 川内は大学卒業後も私の練習法をベースに実績を重ねてきたわけですが、学習院大の陸上競技部に入部したての頃、実は私の指導法にとても懐疑的でした。
 そんな川内が、いかにして私の練習法を実践し、強くなったのか。

■抑えた練習で、川内は開花した!

 私が監督を務めていた学習院大は、当時も今もとても箱根駅伝の本選出場を狙えるようなレベルにはありません。
 そんな学習院大にとって高校時代は故障続きで無名選手だったといっても、川内の実力はエース格でした。
 入部したての練習で川内のジョッグを見ると、なぜ高校時代に故障に悩まされていたのか不思議なほどフォームが安定しています。
 右足が着地した後、ちょっと外向きに跳ねるクセがあるものの、故障に悩まされるような乱れたフォームではありません。
 「スピードはないけれど、脚は頑丈そうだな」というのが私の第一印象でした。
 週2回のポイント(強化)練習は、水曜と土曜の夕方にやっていました。
 水曜は1000m×10本などの「インターバル走」や陸上トラックで16000m(40周)の「ペース走」といった「スピード練習」。
 土曜は20〜30㎞の「距離走」です。
 いずれのペース(スピード)も、他の強豪校とは比べものにならないほどゆったりしたもの。
 選手それぞれ走力に差はありますが、個々人のレベルにおいてかなり余裕を持った"ゆったりペース"で走るというイメージです。

 高校時代にキツい練習をこなしてきた川内は、「えっ、これで終わりですか?」という表情を浮かべ、私の練習法がもの足りないようでした。
 高校時代はもっともっと追い込んでポイント練習を繰り返していたのですから、拍子抜けしたのでしょう。
 「こんな練習で本当に大丈夫なんだろうか?」
と懐疑的になっていたに違いありません。
 でも、それでいいのです。
 一般常識的には、高校より大学のほうが厳しい練習をするのが当たり前かもしれませんが、私のやり方は違います。
 "頑張りすぎない""走りを楽しむ"
が、私のモットーなのです。

 そもそも、高校時代に走り込んでおらず、脚ができていない学習院大の選手を練習で追い込めば、必ずや故障します。
 箱根駅伝を戦うには1区から10区まで10人の選手がいればいいわけで、補欠の選手を含めてもエントリーできるのは16人です。
 部員の多い大学の陸上競技部は、長距離だけでも100人近くの選手を抱えています。
 しかし、学習院ではチームに長距離選手が12、13人しかいないので、
 故障者が出ると10月の箱根駅伝の予選会にも出場できなくなってしまいます。
 この少人数でまわさないといけないチーム状況があるわけで、監督として選手たちを故障させるわけにはいかないのです。
 選手がたくさんいる強豪校であれば、厳しい練習を課して故障者が出ても、故障せずに"生き残った選手"だけでチームを編成できます。
 そういう強豪校と学習院大は、練習の前提条件がまったく違うのです。

 箱根駅伝の強豪校は通常、朝食前の朝練習で10〜15㎞ほど走りますが、学習院大では朝練習をしません。
 他の強豪校のように寮生活ではないので、毎朝集合するのが難しいという事情もありますが、それよりも本練習以外に毎朝そんなに走ると故障を招くから実施していないのです。
 厳しい練習を課しても故障せず"生き残った選手"だけを本番で起用するのは、私にいわせれば誰にでもできるコーチングです。
 故障させることなく選手たちの潜在能力を高めることこそ、本当の指導者の役割だと思うのです。
 「水・土曜のポイント練習だけは集中しよう」
 「その他の日はジョッグで疲れを抜こう」
――このシンプルな二本立てで練習にメリハリをつけることが、故障せずに強くなるためのポイントなのです。

■市民ランナーも故障に苦しんでいる

 これは一般の市民ランナーにも同様のことがいえます。
 30代から50代にかけて、多くのビジネスパーソンが日々仕事とともにランニングに勤しみ、マラソンに挑戦しています。
 冬のマラソンシーズンになると、毎週のように全国各地のレースにチャレンジする市民ランナーもいます。
 マラソンで速くなるには、練習内容も大切ですが、もっと大切なのは故障しないようにすること。
 故障してしまえば練習もできず、レースにも出場できなくなり、それまで培ってきた努力がご破算になりかねません。
 「腹八分目に医者いらず」のことわざの通り、暴飲暴食をしないで腹八分目にしておけば病気にならないといわれています。
 私はこの八分目の精神は、マラソンの練習にも当てはまると思っています。
 そのため、選手たちには"腹八分目の練習"しかやらせません。
 もともとポイント(強化)練習は週2回と少なめですが、それも腹八分目の強度(ペース)です。
 その他の日はジョッグでつなぎ、体調と相談しながら自分の頭で考えて走ることを是とします。

 多くの市民ランナーが参加するランニングクラブの練習会などでスピード練習を実施すると、仲間との競争のようになってしまうことが多いです。
 フォームが崩れても仲間に負けたくないから「ゼイゼイ」「ハアハア」と息を切らして必死に走る……。
 根性はつくかもしれませんが、長い目で見れば"マイナスの練習"です。
 故障を招くこともあるでしょう。
 実際、市民ランナーの2人に1人はなんらかの故障を抱えているそうです。
 ポイント(強化)練習では、スピード練習でも距離走でもフォームが崩れない程度のペースで、"膝のタメ"を意識しながら走り、最初から最後まで一定ペースをキープする。
 そして余裕を持って終えます。

 それが腹七分目くらいでもの足りないのであれば、追加で1本。
 スピード練習(インターバル走)であれば300m×1本、距離走であれば1000m×1本などをフリーペースで走ってストレス発散して、腹八分目にして終えましょう。
 箱根駅伝の強豪校に入学してしのぎを削るのは、素質に恵まれた選手ばかりですが、大学で伸び悩むケースが少なくありません。
 箱根駅伝で脚光を浴びる選手たちの裏には、故障を抱えて悶々としている選手たちがたくさんいるのです。

 近年は高校でも随分と距離を踏んでいるので、故障に苦しむ選手は増加している印象です。
 これは指導者の走らせすぎもありますが、レギュラー争いが過熱するなかで、自分の体調が悪くてもそれを指導者に報告できずに練習するという雰囲気もあると聞きます。
 市民ランナーも同じで、調子が悪いときでも走ろうというのは逆効果でしかありません。
 ポイント練習でも追い込んで走り切ると終了後に達成感がわいてきますが、これが結構なくせ者でオーバーワークと故障の呼び水となるのです。

 練習では達成感のレベルを下げる意識が大切です。

 オーバーワークを防げますし、膝のタメを使った走りもしやすくなります。
 無理をしてもいいことはありません。
 設定タイムに余裕をもたせて、「楽しく走る」ことを優先してください。
 それが目標タイム達成の近道になります。


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 2013年優勝の表彰式:google動画より、
『

●2013年 ゴールドコーストマラソン 男子表彰式
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